年次大会 conference

2024年度 第33回 年次大会

開催日:2024年9月2日(月)、3日(火)

会 場:高崎経済大学1号館3階132教室 + Zoom配信(両日とも)

情報交換会会場:ホテルメトロポリタン高崎

参加費:一般会員 3,000円(対面・オンラインとも)
    学生会員 1,000円( 〃 )
    情報交換会費 5,500円(一般会員等)、2,000円(学生会員のみ)
     対面参加の方は当日徴収いたします。
     オンライン参加の方は以下をご確認の上、お支払いください。
※公開シンポジウムは非会員の方でも対面・オンライン問わず無料でご参加いただけます。オンラインで参加をご希望の方は大会実行委員会までご連絡ください。Zoomミーティング情報を折り返しお知らせいたします。

〈オンライン参加方法〉

 オンライン参加の方にはPeatixというオンラインシステムを利用していただきます。大会実行委員会で大会用のWebサイトを立ち上げ、チケットを用意しており、そこからチケットを購入すると、大会参加のZOOMアクセス情報を入手していただけます。以下のリンクにアクセスし、画面の指示にしたがって購入手続きをお願いします。

日英教育学会第33回大会(@高崎経済大学)

大会スケジュール *諸所の事情により若干変更になる可能性があります

第1日目:9月2日(月)

11:00~12:30

運営委員会(1号館3階131教室)

12:30~13:40

シンポジウム打ち合わせ(1号館3階135教室)

13:30~

受付(1号館1階エレベータ前)

14:00~16:40

14:00

14:10

15:50

16:10

シンポジウム(1号館3階132教室)

司会・趣旨説明 吉原美那子(高崎経済大学)

チャリティの歴史から見た教育 金澤周作氏(京都大学大学院文学研究科)

英国の教養教育という視点から 本宮裕示郎(滋賀県立大学人間文化学部)

全体討論

18:00~20:00

情報交換会(メトロポリタン高崎)

【シンポジウム】 9月2日(月)14:00~16:40

チャリティと教育
―今日におけるチャリティの意義を考える─

 英国の教育は、遠い過去から現在に至るまで、チャリティを抜きにして語り得ない。国民に対する斉一的な「公教育」の制度が確立されるはるか以前から、チャリティは、初歩的な読み書きを教えるささやかな学校からオックスブリッジの大学カレッジに至る各種の教育施設を建て、維持し、貧しい優秀な若者に奨学金を提供するなどしてきた。さらに国内のみならず、イギリス帝国およびその外側に至るグローバルな範囲に、宣教師や団体を介してチャリティ的な教育を広めてきた。こうした現象が英国によって作り出されて、今に至るまで続いている理由と意味を問うことには意義があるだろう。

そもそも英国において、チャリティ(あるいはフィランスロピー)の手が差し伸べられる分野は教育だけではない。それでは、英国のチャリティとはいったい何なのか。そしてその「全体」の中で、教育はどのように捉えられてきたのか。逆に英国の「教育」とはいったい何であって、その全体の中で、諸所に浸潤するチャリティはどのように捉えられてきたのか。本シンポジウムでは、この学際的な問題に歴史学と教育学の双方から接近すべく、西洋史学がご専門の金澤周作氏(京都大学大学院)をお招きして、歴史学の観点から問題提起していただく。

教育学の側からは、会員の本宮裕示郎氏に、英国の教養教育におけるチャリティの影響を論じていただく。

基調講演:チャリティの歴史から見た教育     金澤周作氏(京都大学大学院文学研究科)

指定討論:英国の教養教育の視点から       本宮裕示郎氏(滋賀県立大学人間文化学部)

○講演者紹介

金澤周作氏 現在、京都大学大学院文学研究科教授。博士(文学、京都大学)。専門は、西洋史学(イギリス近現代史)。主な著作に『チャリティとイギリス近代』(京都大学出版会、2008年)、「学びを支える社会と力―近代イギリスの教育とチャリティー」南川高志編『知と学びのヨーロッパ史―人文学・人文主義の歴史的展開―』(ミネルヴァ書房、2007年)、『チャリティの帝国―もうひとつのイギリス近現代史―』(岩波新書、2023年)など。

○指定討論者紹介

本宮裕示郎氏 現在、滋賀県立大学人間文化学部准教授。博士(教育学、京都大学)。主な著書に『イギリスの自由教育論争: 教養をめぐる科学と文学の相克』(東信堂、2023年)、「19世紀イギリスにおける教養概念の問い直し:T. H. ハクスリーとM. アーノルドによる論争に着目して」『教育方法学研究』第43巻(日本教育方法学会、2018年)など。本学会会員。

 

第2日:9月3日(火)

8:40~ 受付(1号館1階エレベータ前)

9:00~11:00   自由研究発表(1号館3階132教室)司会:鈴木麻里子(流通経済大学)

09:00

スコットランドにおける非認知能力育成に向けた教育実践

伊藤駿(京都教育大学)

09:25

イギリスの音楽鑑賞教育におけるアクティブ・リスニング─活動を通した音楽理解の観点─

小松原祥子(神戸女子短期大学)

09:50 公正性を担保するための「コンテクスト(文脈)による入学者選抜」の妥当性について─社会的多様性・流動性の確保か、学術的水準の維持か─ 沖清豪(早稲田大学)
10:15 A.S.ニイルの女性解放思想とサマーヒル・スクールの女子教育的側面 持田洸(立正大学)
10:40 サマーヒル・スクール視察雑感─厳しさを背景にした自由な学校─ 広瀬裕子(専修大学)
11:05 全体討論  

11:30~12:30  総会(1号館3階132教室)

 

【会場へのアクセス

高崎経済大学(外部サイト)

東京都心からから上越・北陸新幹線利用で約50分。高崎駅西口バス乗り場 2番(高崎経済大学経由榛名湖、箕郷、室田行き)で15分、300円。お車の場合、東京都心から関越自動車道経由で約70分。

●バスでお越しの場合:JR 高崎駅西口から
1 群馬バス(2番乗場)
室田行き/榛名湖行き/箕郷行きの「経大(ケイダイ)経由」に乗車し、「経済大学前」で下車してください。
7:25→7:38/8:10→8:28/8:16→8:30/8:30→8:44/9:30→9:44/9:46→10:00
10:00→10:14/10:30→10:44/11:30→11:46/12:30→12:44/13:30→13:44

2 市内循環バスぐるりん(4番乗場)
系統番号3経大先回りに乗車し「経済大学前」で下車してください。
7:50→8:10/9:50→10:10/10:50→11:10/11:50→12:10/12:50→13:10
*表記以降のバスの時刻は、バス停または大学 HP でお調べください。
*大学から高崎駅行のバスの時刻は、大会受付に掲示します。

※会場案内図は大会プログラムをご参照ください。

【昼食】

第1日目、第2日目ともに学食(生協)が営業しておりますが、時間を短縮しての営業のため、念のためコンビニ等でご用意いただくことをお薦めします。会場にも軽食(菓子・飲料等)をご用意します。

【宿泊】

高崎駅西口東口近辺に複数のビジネスホテルがございます。各自でご手配の上、ご利用ください。ご不明な点があれば、大会実行委員会までお問い合わせください。

 

 


2023年度 第32回 年次大会

開催日:2023年8月28日(月)、29日(火)

会 場:専修大学神田校舎10号館〈140年記念館〉 4階10041教室 + Zoom配信(両日とも)

懇親会:専修大学神田校舎1号館15階ホール〈報恩の間〉

参加費:一般会員 3,000円(対面・オンラインとも)
    学生会員 1,000円( 〃 )
    懇親会費 5,500円
     対面参加の方は当日徴収いたします。
     オンライン参加の方は以下をご確認の上、お支払いください。
※公開シンポジウムは非会員の方でも対面・オンライン問わず無料でご参加いただけます。オンラインで参加をご希望の方は大会事務局までご連絡ください。Zoomミーティング情報を折り返しお知らせいたします。

〈オンライン参加方法〉

 オンライン参加の方にはPeatixというオンラインシステムを利用していただきます。大会実行委員会で大会用のWebサイトを立ち上げ、チケットを用意しており、そこからチケットを購入すると、大会参加のZOOMアクセス情報を入手していただけます。以下のリンクにアクセスし、画面の指示にしたがって購入手続きをお願いします。

日英教育学会第32回大会(@専修大学)

大会スケジュール

第1日目:8月28日(月)

11:00~12:30

運営委員会

10号館(140年記念館) 4階10041教室

12:30~

シンポジウム打ち合わせ

10号館(140年記念館) 4階10042教室

13:30~

受付

10号館(140年記念館) 4階10041教室前

14:00~17:20

シンポジウム

10号館(140年記念館) 4階10041教室

17:45~19:30

懇親会

1号館 15階ホール(報恩の間)

 

【シンポジウム】 8月28日(月)14:00~17:20

英国の独立学校について考える
―グローバルに進行するプライヴァタイゼーション?─

英国の著名な独立学校の日本校設置が相次いでいる。2022年8月にはハロウインターナショナルスクール安比ジャパンが、2023年8月にはマルバーン・カレッジ東京が、2023年9月にはラグビー・スクール・ジャパンが開校予定である。

こうした動向は、日本の学校教育全体から見ればきわめて一部の、いわば例外的な出来事に過ぎないかもしれない。これらの学校が、日本の公教育全体にどの程度影響を及ぼすのかは未知数ではある。この状況をもって、学校教育を通した「分断か統合か?」「排除か包摂か?」と論じるのは、大げさに過ぎるのかもしれない。また日英の学校制度はそもそも大きく異なり、英国の独立学校independent schoolと公営学校state schoolは、日本語で便宜上「私立/ 公立」と訳されることもあるが、日本のイメージでその姿をとらえようとすれば、その制度の意味をまったく見誤ることになるだろう。

 とはいえ、日英の教育について、とりわけ教育の機会均等や多様性の尊重という観点から検討しようとするとき、現在の状況をどのようにとらえるべきなのかと考えざるをえない。

 英国の独立学校は、日本の私立学校とは異なり、独自の財政基盤のもとに独自のカリキュラムと選抜が行われ、その歴史的経緯や授業料の高さから、きわめて特権的な学校制度として位置づけられている。とはいえ現在では様々な奨学金制度も導入され、共学化やグローバル化が進み、かつての閉鎖的なエリート教育とは異なり、その機会を拡大する方向にシフトしているようである。

 本シンポジウムではこうした動向について、4つの視点(保護者の教育期待、教育の市場化、学力観、公営学校の動向)から検討したい。

第一に、独立学校を選ぶ保護者が学校に期待するのはどのようなことだろうか。在学中の子どもの生活の充実を考えれば、例えば「少人数」であることや「めんどうみの良さ」、「優秀な」あるいは「多様な」学友との交流やネットワークの構築などが魅力と映るかもしれない。また学校卒業後の姿に着目すれば、著名な大学進学を目指すのか、あるいは必ずしも大学進学をゴールとせずむしろ人生そのものの充実を重視するのか、また特定のメンバーシップを獲得することに意義を見出すのかなど、様々な視点が考えられる。それはすなわち、教育社会学的にいえば、独立学校選択は階級再生産かあるいは上昇戦略の一環か、教育戦略の自由化・多様化かあるいは新たな階級閉鎖戦略かといった視点である。

第二に、教育の市場化という観点から、学校経営戦略のひとつとして着目したい。現代の多くの学校は、優秀な児童生徒確保と安定的な経営という課題に直面しており、独立学校も例外ではない。学校教育の市場主義化は、英国でもこれまで繰り返し指摘されてきているところである。共学化や奨学金は、そうした課題に向き合うための方策の一環としてとらえることもできる。今や教育ビジネスは、輸出産業のひとつとして位置づけられている。かつての教育借用に関する議論が、教育を輸入する側の視点に立っていたとすれば、本テーマでは、輸出する側からの、グローバルな市場拡大という観点から検討してみたい。

第三に、独立学校で求められる学力とはどのようなものだろうか。独立学校では、大学進学を前提としない学力、すなわち必ずしも試験に直結しないような多彩な授業科目、そして授業場面だけに収斂されない学校生活全体を通して学ぶ礼儀作法や教養が重視されており、いわゆる受験勉強に特化した詰込み教育とは一線を画する、全人的教育が実施されてきた。文化的再生産論の見地に立てば、そうした実生活上の必要性からの「距離」こそが、エリート教育の特徴であった。それではそうした学力観は、独立学校の多様化の中で、変化はあるのだろうか。あるいは学力についての近年の国際的議論を参照すれば、OECDのキー・コンピテンシーや、PISA2018から導入されたグローバル・コンピテンスなど、具体的な知識技術ではなく、異なる価値観を尊重し他者とコミュニケーションを重ねながら具体的な課題解決へと向かう力が求められるようになっている。そうしたグローバルな学力観の展開は、独立学校における教育内容に対して果たして影響はあるのだろうか。

そして第四に、こうした独立学校の動向は、英国における公営学校改革と照らし合わせた時に、どのように描き出せるのだろうか。現在英国では、公営学校をすべてアカデミー(政府から直接資金提供を受けアカデミー・トラストによって運営される学校)に置き換える政策が進められている。翻って日本では、「公立学校の私立化」「私立学校の公立化」ともいえる授業料無償化や公設民営化、学校教育の多様化(複線化、義務教育機会の多様化など)が進められている。公私の関係の再編は、学校教育制度全体の配置をどのように浮かび上がらせるものなのだろうか。

以上4つの視点から、本シンポジウムでは、英国の独立学校についての三名の専門家を招聘し、独立学校と公営学校に研究蓄積のある学会員二名を加え、英国の独立学校の実態と教育制度における公私関係の変容について検討したい。

過去の日英教育学会において英国の独立学校をシンポジウムの課題として取り上げたのは、第12回大会(2003年7月、京都女子大学)「英国の教育界における<公私>関係の現状とその示唆するもの」がある。ゲストにヴィヴィアン・アンソニー氏(前・全国校長会(HMC)事務局長)を招聘し、英国の独立学校に対する公的補助金の状況や当時の労働党政権の政策といった点から、英国の学校制度における公私関係が議論された。シンポジウムの趣旨には、当時の「規制緩和」「民営化」「学校の自主性・自律性の確立」「公共的な教育サービスの見直し」といった日本の教育状況を踏まえてのテーマ設定であることが記されている。本シンポジウムはその20年後、さらなるグローバリゼーションとプライヴァタイゼーション(市場化、民営化、私事化)が進んだ学校教育の現状について、独立学校の動向を手がかりに再検討しようとするものである。

本シンポジウムを通して、学校教育は機会均等を通して社会の平等化に寄与するのか、あるいは社会の階層性を正当化し再生産するのかといった、教育の社会的公正に関する根本的な問に立ち返りつつ、日本において喫緊の課題である教育格差への取り組みや学校制度改革についても示唆を得られることを期待したい。

研究者や学校関係者はもちろんのこと、日英の学校教育に関心をもつ広く一般の方々の参加を歓迎する。

 

【シンポジウムスケジュール】

14:00~     趣旨説明  石黒万里子(東京成徳大学)

(話題提供)

14:10~14:50  私立小学校とプレップ・スクール  小針誠(青山学院大学)

14:50~15:30  英国パブリック・スクールの教育像とその諸相  古阪肇(文部科学省)

15:30~16:00  21世紀のパブリック・スクール―ステレオタイプを越えて見えて来るもの  松原直美(元ハロウ校)

16:00~16:20  公営学校改革の現状と課題  青木研作(東京成徳大学)

(指定討論・共同討議)

16:30~16:50  指定討論  宮島健次(西武文理大学)

16:50~17:20  共同討議

 

【シンポジストの紹介】

小針 誠 氏

【略歴】

2005年東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。博士(教育学)。現在、青山学院大学教育人間科学部教育学科教授。

【研究関心】

私立小学校を中心とする小学校段階の学校選択・入学選抜の社会学的研究、教育と子どもの社会史研究など。

【主要な研究業績】(いずれも単著書)

  • 『教育と子どもの社会史』(2007年 梓出版社)
  • 『〈お受験〉の社会史』(2009年 世織書房)
  • 『〈お受験〉の歴史学』(2015年 講談社選書メチエ)
  • 『アクティブラーニング』(2018年 講談社現代新書)

 

古阪 肇 氏

【略歴】

平成26年3月早稲田大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。早稲田大学教育学部助手、千葉大学大学院医学研究院特任助教を経て、平成29年4月より文部科学省外国調査係専門職(イギリス担当)。国立教育政策研究所フェロー。東邦大学理学部非常勤講師。

【研究関心】

イギリスの主に中等教育段階におけるケア・サポート体制について、特にパストラル・ケアについての関心が高い。生徒の学力増進、安全保護、健康福祉、身体的及び精神的成長など、学校生活や寮生活において多面的に影響を与えるパストラル・ケアについて、特に公費維持学校に比して先行研究の少ない独立学校における実情を明らかにしたい。

【主要な研究業績】

  • 「英国の独立学校における学校監査の役割と特徴 ―独立学校監査団と監査報告書の存在に着目して―」『関東教育学会紀要』第38号、101-112頁、2011年。
  • 「英国の寄宿制私立中等学校におけるパストラル・ケアの重要性」『早稲田教育評論』第30巻第1号、97-108頁、2016年。 
  • 「大学改革の現状と課題 -英国パブリック・スクールに着目して-」『兵庫高等教育研究』第1号、51-66頁、2017年(秦由美子と共著)、等。

 

松原 直美 氏

【略歴】

1992年上智大学経済学部卒業、2006年早稲田大学大学院アジア太平洋研究科国際関係学地域研究専攻博士課程退学。商社勤務の配偶者が海外駐在するたびにその地で就職活動をし、タイの公立中高一貫校、アラブ首長国連邦(UAE)の国立ザイド大学、イギリスのハロウスクールなどで選択科目の日本語非常勤教員や茶道・空手道の講師を勤める。現在東京在住、日米会話学院契約講師。

【研究関心】

学校教育による自己アイデンティティとナショナルアイデンティティの育成

【主要な研究業績】(いずれも単著書)

  •  『世界のリーダーは歴史をどう学ぶのか』(2023年近日刊、自由国民社)
  •  『英国名門校の流儀 一流の人材をどう育てるか』(2019年、新潮社)
  •  『絵本で学ぶイスラームの暮らし』(2015年、あすなろ書房。中国繁体字版2016年)
  •  『住んでみた、わかった!イスラーム世界』(2014年、SBクリエイティブ)
  •  『ボーイスカウトの政治的関与 日本・タイ比較(英文)』(2006年、タイ国立公文書館)

 

青木 研作 氏

【略歴】

2007年早稲田大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学。早稲田大学教育学部助手、西九州大学子ども学部准教授を経て、現在、東京成徳大学子ども学部教授。日英教育学会会員(事務局長)。

【研究関心】

新自由主義的な政策がもたらす公教育制度への影響に関心を持ち、特に、1980年代以降のイギリスの公営学校改革を研究。

【主要な研究業績】

  • 「新しいタイプの公営学校」(日英教育学会編『英国の教育』 2017年 東信堂)
  • 「イギリス連立政権下のアカデミー政策 ―学校の自律化が与える地方教育行政への影響に着目して」『日英教育研究フォーラム』第19号、45-58頁、2015年、世織書房。

 

第2日:8月29日(火)

8:40~

受付

10号館(140年記念館) 4階10041教室前

9:00~11:30

自由研究発表

10号館(140年記念館) 4階10041教室

11:40~12:30

総会

10号館(140年記念館) 4階10041教室

〈自由研究発表〉

司会 沖清豪(早稲田大学)、伊藤駿(広島文化学園大学)

①9:00~9:30 イギリスにおける停・退学低減に向けた地方当局の施策の検討 青木栄治(筑波大学大学院)

②9:30~10:00 20世紀中葉イングランドにおける医療と教育領域から見た病気療養児教育のずれ 豊田英嗣(早稲田大学)

③10:00~10:30 イギリスの就学前・初等音楽教育における歌唱技能の発展的カリキュラム―2021年改訂版音楽教科書を対象として― 小松原祥子(神戸女子短期大学)

④10:30~11:00 20世紀初頭イギリスにおける女性の柔術実践:サフラジェットの護身術という理解をこえて 平岡麻里(星槎大学)

⑤11:00~11:30 全体討論

 

会場アクセス

専修大学神田校舎10号館〈140年記念館〉(外部サイト)

 


2022年度 第31回 年次大会

  • 会場:福岡大学附属図書館多目的ホール(コロナ禍の影響により、ハイブリッドで開催します)。

  • 参加費:対面参加者 3,000円(当日徴収)  オンライン参加者 3,000円(事前支払い・学生会員は無料)

    *オンライン参加の方にはPeatixというオンラインシステムを利用していただきます。大会準備委員会で大会用のWebサイトを立ち上げ、チケットをご用意しております。チケットを購入すると、大会参加のZOOMアクセス情報を入手できます。

    以下のリンクにアクセスし、画面の指示にしたがって購入手続きをお願いします。なお、パスワードは別途学会事務局からお知らせいたします。

    第31回日英教育学会(@福岡大学)https://31st-jp-uk-fukuokaforum.peatix.com/

    *学生会員は対面、オンライン問わず無料で参加できます。参加ご希望の学生会員は、直接大会準備委員長までメールでお知らせください。Zoomミーティング情報を折り返しお知らせいたします。
  • 連絡先:大会準備事務局(担当:高妻紳二郎)

8月29日(月)

11:00~12:30 運営委員会(図書館6階 大学院ゼミ室)
13:00~13:40 シンポジウム打ち合わせ(図書館6階 大学院ゼミ室)

13:00~

受付(図書館1階多目的ホール前)

14:00~17:20

公開シンポジウム(図書館1階多目的ホール)

《テーマ》
「英国教員養成の質保証:複雑化する養成ルートでいかに専門性を保証し得るのか」

周知のように英国の教員養成はschool-basedに移行する様相を呈しており、人口増の見通しにありながら深刻な教員不足がみられるなど、伝統的な教職プロフェッショナルを育成する軌道とは離れた動向が看取される。近時の政策として普及しているアカデミーには免許資格を保有せずとも教員として登用する例もみられるといい、英国の教員養成、ひいては教師教育全体を今一度見直す必要がある時期を迎えたとも言えよう。くしくもコロナ禍における度重なるロックダウンの影響も甚大であって、授業で活用する通信回線状況格差はもとより学校から家庭への連絡手段の途絶や喫緊の生活保障の必要を含め、家庭や子どもが置かれた教育環境の格差も浮き彫りになった。児童生徒のみならず、教員が置かれた生活状況、勤務状況についてもvulnerableな観点から大きな課題として把握されている。そしてなおも英国における感染状況の急激な増縮減が看取され、学校も大きな影響を受け続けている。2020年のロックダウン初期にみられたYouTube動画で代替可とするような局面からは脱出しつつあるとはいえ、教育内容にとどまらず今後は教師の専門性も再び問われることが予想し得る。

過去の日英教育学会において「英国教師教育・教員養成」をシンポジウムの課題として取り上げたのは、第5回大会(1996年8月、立命館大学)「教師教育の動向と課題」(R.オルドリッチ教授)、第7回大会(1998年9月、早稲田大学)「教師教育の未来」(P.ギルロイ教授)、そして第21回大会(2012年9月、早稲田大学)「日英の教員養成の比較研究」の3回である。直近の2012年の大会では日本では自民党から民主党への政権交代を経た時期での企画であり、日英の教員養成の実態を素材として教員養成期間の延長や研修制度の在り方が活発に議論されている(本学会紀要第17号所収)。以来、10年が過ぎた今日、日本では教職の専門性の議論を超えて教員免許更新制度の「発展的解消」を主な目的とした教育職員免許法が改正され、失効した免許も復活することとなった。さらに「働き方改革」の号令の下で教員の仕事の見直しが急がれ、一方で採用倍率の著しい低下に何とか歯止めをかけようとする微視的な手当てや、特に小学校において全く足りていない教員不足の弥縫策に追われている。

このように重要案件は目白押しではあるが、日本における教員養成改革の多様な政策アイディアにかかる議論を参照しつつも、本シンポジウムでは、英国の教員養成ルートと教員の資質・能力の向上策、養成システムに詳しい会員お二人のご報告をもとに、英国における教員養成に焦点化した議論を展開したい。そして英国での「教員養成の質保証」の特質を描出するとともに、どのように専門性を保証しようとしているのか、現状及び今後の展開に係る情報共有の場としたい。

14:10~15:20 盛藤 陽子(東京大学・院生)
「教員養成の場の多様性と複雑性(仮)」

15:30~16:40 高野 和子(明治大学)
「教員養成の軌跡と見通し─日英比較の視点─(仮)」

16:50~17:20 共同討議

 

【シンポジストの紹介】

盛藤 陽子 会員

【略歴】

令和4年3月東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学、4月から東京大学大学院教育学研究科大学院研究生として在籍及び公立高等学校教諭として勤務。

【研究関心】

イギリスの学校主導型教員養成の一つであるSCITT(School-centred Initial Teacher Training)のカリキュラムや教育内容とそれらを通した実習生や教師の学びの様相を質的に分析すること。

【主要な研究業績】

・「イングランドのSCITT(School-centred Initial Teacher Training)における「理論」と「実践」の統合に関する一考察―Gateshead 3-7 SCITTカリキュラムの事例分析から―」『日本教師教育学会年報』第22号、pp. 89-100、2013年。

・「学校における多文化教育に資するイギリスの学校主導型教員養成カリキュラム―SCITT(School-centred Initial Teacher Training)の比較ケース分析を通して―」『比較教育学研究』第59号、pp. 69-91、2019年、等。

高野 和子 会員

【略歴】

京都大学大学院教育学研究科博士課程退学(研究指導認定)後、関西、首都圏(1989年度から)の高等教育機関での専業非常勤講師を経て1996年度から明治大学専任教員。2007年度にロンドン大学教育学院・客員研究員。

【研究関心】

教育学部・学科をもたない大規模私立大学のなかで教職課程の運営と教育に携わりながら、日本とイギリスの“大学と教員養成”をめぐる問題に関心を寄せてきた。

【主要な研究業績】

・“The Significance and Limitations of Area Training Organizations – a Japanese Perspective”, History of Education Researcher,Vol.84, 2009.

・「イギリスにおける教員養成の「質保証」システム-戦後改革からの40年間」『明治大学人文科学研究所紀要』第77冊,2015年;「『教職課程コアカリキュラム』と『参照基準(教育学分野)』-教員養成の質保証にかかわる二つの文書―」『明治大学教職課程年報』第43号,2021年、等。

 

※非会員の方はあらかじめ大会事務局へお問い合わせをお願いします。
 参加手続きについて折り返しお知らせします。

8月30日(火)

08:50~

09:20~11:20

受付(図書館1階多目的ホール前)

自由研究発表(図書館1階多目的ホール) 

司会:花井 渉(九州大学)

09:20~09:50 井上 慧真(帝京大学)
「英国における早期離学者への施策─4地域の差異に注目して」
09:50~10:20 石黒 万里子(東京成徳大学)
「英国の初等学校における食育の動向(仮)」
10:20~10:50 清田 夏代(実践女子大学)
「白人労働者階級児童・生徒の教育上のディスアドバンテージ問題への取り組み関する一考察」
10:50~11:20 全体討論
11:30~12:30 総会(図書館1階多目的ホール)
 

※福岡大学へのアクセスはこちらから。

※図書館へのアクセスはこちらから。


2021年度 第30回 年次大会

  • 会場:早稲田大学の予定でしたが昨今のコロナ禍の影響でオンライン開催となりました。ZoomのミーティングID、当日発表資料などはこちらから。
  • 参加費:無料
  • 申し込み:学会会員は不要です。公開シンポジウムへの参加を希望する非会員の方は8月28日18時までに大会事務局までご連絡ください。
  • 連絡先:大会準備事務局(担当:沖 清豪)

8月30日(月)

11:00~12:30 運営委員会
13:30~13:45 シンポジウム打ち合わせ

13:45~

受付(会員専用ページからアクセス願います)

14:00~17:00

公開シンポジウム

《テーマ》
 イギリス版「高大接続改革」を検証する:格差・公正・移行問題に注目して
─地域格差の解消と公平・公正な選抜が求められる中で、イギリスにおける中等教育から高等・継続教育への移行問題の現状を確認する─

 

《趣旨》
 イギリスでは学術資格の改革(GCSEやA-level等の2010年代改革状況)や選抜制度の改革を通じて、高等教育進学率の向上と格差是正のための取組が、政策レベルでも個別大学レベルでも進められてきました。にもかかわらず、依然として地域間等での進学率格差は改善されているとはいいがたいようです。
 一方で職業資格改革(T-levelの導入等)も進められており、他の欧州諸国と同様に、職業資格と学術資格を同じ枠組みで捉え直す資格枠組の改革も継続的に実施されています。職業資格を就職時だけでなく、高等教育機関進学における資格としても活用する事例も見られる中で、中等教育から高等教育への移行問題をどう捉えたらよいのでしょうか。
 あるいは、日本でも大学入学者選抜や大学教育での民間検定試験の活用拡大について検討されてきたものの、地域間格差や経済面での格差を改善する取組みは十分とは言えない状況です。今後、日本で改めて社会・経済的な格差是正に取り組むにあたり、イギリスの状況は、その課題や限界を含めて先行事例として注目されるものでしょう。
 今回のシンポジウムでは、日本における入試改革や若者の格差問題を考える上での合わせ鏡として、イギリスの現状と課題、そしてその克服方法やその限界について確認することを目指します。

 

14:00~14:25 沖 清豪(早稲田大学)
「趣旨説明+シュワルツ報告後の大学入学者選抜をめぐる議論」

14:25~14:50 山村 滋(大学入試センター名誉教授)
「高等教育進学データから見た格差問題と社会的公正」

14:50~15:15 花井 渉(大学入試センター)
「資格試験制度改革から見た社会的公正」

15:15~15:40 佐野 正彦(大阪電気通信大学)
「継続教育からの移行問題─高等教育への接続に焦点を当てて」

15:40~15:50 休憩

15:50~17:00 全体討論

17:00~18:00 参加者の交流*
*参加者間での交流の場を設定します。

8月31日(火)

10:00~12:15

 

自由研究発表 
司会:眞城 知己(関西学院大学)・山崎智子(北海道教育大学)
*当日は9時45分ごろからZoom(待機室)にアクセス可能です。

10:00~10:30 鄭 漢模(九州大学教育改革推進本部)
「英国における新しい大学モデルの形成:公開大学モデル成立の前史として」
10:30~11:00 影山 菜々美(東京大学大学院教育学研究科)
「子ども/生徒の声を尊重する実践と議論の探求─Jean RudduckとMichael Fieldingの概念の接近と議論の違いに注目して─」
11:00~11:30 青木 栄治(筑波大学大学院)
「特別ニーズ教育のためのホール・スクール・アプローチの検討:2014年制度改革以降を対象として」
11:30~12:00 伊藤 駿(広島文化学園大学学芸学部子ども学科)
「英国4地域におけるインクルーシブ教育の実態とその変化─欧州内での位置に注目して─」
12:00~12:15 全体討論
  自由研究発表終了後 総会

 

 

 


2020年度 第29回 年次大会

  • 会場:京都女子大学の予定でしたが昨今のコロナ禍の影響で1日のみのオンラインとなりました。
  • 連絡先:大会準備事務局


9月6日(日)

9:30~10:00 受付(Zoomにて。会員専用ページにアクセス願います)
10:00~12:00

自由研究発表
司会:平阪美穂(平安女学院大学)、菊地かおり(筑波大学)

10:00~10:30

松田万里阿(筑波大学・院)
「イギリス保守党政権下のシティズンシップ教育政策の特質─ナショナル・カリキュラム改定に伴う影響に着目して─」

10:30~11:00

岡本洋之(兵庫大学)
「土田杏村の自由大学理念構築をめぐる問題─ポール夫妻(Eden & Cedar Paul)の労働者教育観との共通点から考える─」

11:00~11:30

香川せつ子(津田塾大学言語文化研究所)
「19世紀末から20世紀初頭のイギリスにおける女子身体教育と日本への伝播」

11:30~12:00

全体討論

12:00~13:30

休憩

(12:15~13:15)

シンポジウム打ち合わせ

13:30~17:00 シンポジウム(会員限定)
 

《テーマ》EU離脱国民投票後の『福祉国家』英国とその教育を展望する

進行:谷川至孝(京都女子大学)

シンポジスト
  近藤康史(名古屋大学)
専門:政治学
【著書】
『左派の挑戦 : 理論的刷新からニュー・レイバーへ』( 木鐸社 、 2001)
『個人の連帯:「第三の道」以後の社会民主主義』(勁草書房、2008)
『 分解するイギリス : 民主主義モデルの漂流』(ちくま新書、2017)

2 山本 隆(関西学院大学)
専門:社会福祉学
【著書 】
『グローバリゼーションと福祉国家の変容 : 国際比較の視点』ノーマン・ジョンソン著、山本隆他訳(法律文化社、2002)
「英国における貧困と地域再生」『賃金と社会保障』1516号(2010年6月)
『 貧困ガバナンス論: 日本と英国』(晃洋書房、2019)

17:15~18:00 総会
  (懇親会は行いません)

2019年度 第28回 年次大会

 

  • 会場:福岡大学(〒814-0180 福岡市城南区七隈8-19-1)
    • メイン会場:福岡大学附属中央図書館多目的ホール
  • 連絡先:大会準備事務局

 

 


8月26日(月)

11:00~12:30 運営委員会(中央図書館6F 大学院ゼミ室)
12:30~  受付(中央図書館1F 多目的ホール前)
12:30~13:20 シンポジウム打ち合わせ(中央図書館6F 大学院ゼミ室 )
14:00~17:20 公開シンポジウム(中央図書館1F 多目的ホール)
 

《テーマ》英国教育史研究の軌跡と展望~歴史を紐解く時間として~

進行:高妻紳二郎(福岡大学)、中村勝美(広島女学院大学)
※非会員の方もご参加いただけます(無料)

  1. 14:10~15:20  松塚俊三(福岡大学名誉教授)
    「イギリス労働者はなにをどのように学んだか、独自の文化―19~20世紀前半、学びの歴史性―」
  2. 15:30~16:40  香川せつ子(西九州大学)
    「フェミニスト・ヒストリーからジェンダー、トランスナショナル・ヒストリーへ─イギリス女性教育史研究半世紀のあゆみ─」
16:50~17:20 共同討議
18:00~20:00 懇親会(中央図書館1F「陽だまり」)

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

8月27日(火)

9:00~   受付(中央図書館1F 多目的ホール前)
9:20~11:40 自由研究発表(中央図書館1F 多目的ホール)
  司会:中島千惠(京都文教大学)、植田みどり(国立教育政策研究所)
  1. 9:20~9:50
    伊藤 駿(大阪大学大学院/日本学術振興会特別研究員
    「スコットランドにおける教育的ニーズ概念とその応答に関する研究」
  2.  9:50~10:20
    樋口 真須人(国立奈良工業高等専門学校)
    「CyberFirstと女性エンジニア養成―次世代サイバーセキュリティ人材育成プロジェクト―」
  3. 10:20~10:50
    菅原 雅枝(東京学芸大学国際教育センター)
    「EAL生徒支援をめぐる変化と課題―「パートナーシップティーチング」を軸に―」
  4. 10:50~11:20
    沖 清豪(早稲田大学
    「イギリスにおける大学入学者選抜制度改革の論理:機会の平等と公正性をめぐって」
11:20~11:40 全体討論
11:50~12:50 総会

 

 


《公開シンポジウムの趣旨》
テーマ 【英国教育史研究の軌跡と展望~歴史を紐解く時間として】

日本における英国教育研究は、近年の大きな教育改革の影響が随所にみられることを受け、研究者の興味関心は細分化しつつも研究知見が豊かに蓄積されてきている。ただ、細分化するが故に「ではのかみ」と称されるように、部分的あるいは断片的な紹介にとどまることもある。もちろん、今日の英国教育をめぐる急速な環境変動を追いつつその性質を的確に把握する必要があることは言うまでもないが、矢継ぎ早の改革が実行されており、それぞれの功罪を、短期間で緻密に事前事後検証することはもはや困難である。とは言え、政治・一般行政レベルはもとより日本の教育システムの企画・実施プロセスにおいて英国の類似システムが参照されることもこれまでも数多く、日本へ応用可能な施策やその実施状況を随時紹介することもまた私たちの責務である。
 かかる今日的状況のもと、歴史研究の成果が今後の教育を導く、欠陥を是正する、あるいは何らかの示唆を与え得るのかという視座に立てばそれはなかなか現実には困難ではあるが、歴史の延長線上に今日があり、それを「跡付ける」学術的な意義は極めて高いまま今日に至っていると思われる。英国の政治行政システムも長年の伝統を背景に有し、例え教育制度に関わる大規模な変革であっても、当の英国人(研究者)は泰然と臨んでいることに驚かされることもある。リーダーシップ研究や組織・カリキュラムマネジメント研究等が隆盛を誇る今日、歴史研究は英国本国においてもサッチャー改革の余波を受けて以来、財政抑制による制約もあり低調というべき状況にあった。日英教育学会でも久しく歴史研究をテーマとして取り上げていなかった状況に鑑みて、本大会では改めて英国教育史研究に光を当ててみたい。目まぐるしい変革が続き息つく暇もない今日であればこそ、英国の歴史的文脈に改めて触れることで私たち英国教育研究者の「目が肥える」機会になれば幸いである。
 そこで本大会は福岡大学で開催することもあり、英国史研究の重鎮である松塚俊三先生(福岡大学名誉教授)から英国教育史研究のだいご味を、そして香川せつ子会員(現在、西九州大学客員教授)から永年の女性教育史研究についてそれぞれ講話いただくことにしている。改革疲れも看取される現在からいったん歴史を遡り、英国教育史研究の意義を再度会員で共有し、特有の伝統を味わえるようなシンポジウムになればと思っている。

 〔シンポジスト〕

松塚俊三(福岡大学名誉教授) 
 イギリス近代史、民衆史、教育史をご専門とし、現在も九州歴史学科研究会、イギリス教育史研究会、九州西洋史学会等で精力的に活躍中。『19 世紀イギリスの民衆と政治文化』(2004)昭和堂、『歴史のなかの教師―近代イギリスの国家と民衆文化―』(2001)山川出版社、R・オルドリッチ『イギリスの教育―歴史との対話―』(安原義仁氏との共訳)(2001)玉川大学出版部等、多数の著書、翻訳書を刊行。


香川せつ子(西九州大学客員教授) 
 イギリス女性教育史、女性と高等教育、ジェンダー等の領域がご専門。『女性と高等教育-機会拡張と社会的相克』(香川せつ子, 河村貞枝共編著)(2008)昭和堂、「ケンブリッジ大学における女性科学者の系譜―19 世紀末から 20 世紀初頭にかけての時期を中心に―」(2015)西九州大学子ども学部紀要、「イギリスにおける教育史研究の潮流―ジェンダー、トランスナショナリズム、エージェンシー」/ジョイス・グッドマン著、香川せつ子、内山由理、中込さやか訳(2018)西九州大学子ども学部紀要等、多数。現在科研で「女子高等教育のトランスナショナルな交流とネットワーク構築に関する歴史的研究」を展開中。 

【交通アクセス】

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《大会参加費》 3000円(一般会員)、1000円(学生会員)
《懇親会費》  3000円

【禁煙】館内は禁煙です。キャンパス内にある所定の喫煙所でお願いします。
【宿泊】各自でご手配をお願いいたします。
【昼食】両日ともに学食が開いておりますので、適宜ご利用ください。

 


2018年度 第27回 年次大会

日英教育学会第27回大会のご案内

●会場:実践女子大学渋谷キャンパス(〒150-8538 東京都渋谷区東1-1-49)
    メイン会場:602教室、会員控え室:60A教室 
●連絡先:大会準備事務局

8月27日(月) 10:00~11:30 運営委員会(60C教室)
   11:30~12:30 シンポジウム打ち合わせ(60B教室)
  12:30~  受付
  13:00~17:30 ■ 講演会&シンポジウム(公開)(602教室)
《テーマ》スタンダード化時代の教育リーダーシップ
※非会員の方もご参加いただけます(無料)
  18:00~20:00  懇親会(9階カフェテリア)
8月28日(火)  8:30~ 受付
   9:00~11:20 自由研究発表 司会:小口功(近畿大学)、片山勝茂(東京大学)
   9:00~9:30  清田夏代(実践女子大学)「新自由主義的文脈における学校リーダーシップに関する一考察」
   9:30~10:00  橋田慈子(日本学術振興会特別研究員)「学校理事の学習を基盤にしたインクルーシブな学校づくり―ロンドン・ランベス地区を事例に―
   10:00~10:30  樋口眞須人(奈良工業高等専門学校)「英国の中等教育における実験活動の新保証システム」
  10:30~11:00   伊東(青木)敬子(明治大学)「1970~80年代の伝統文学教育とコモン・リーダー」
   11:00~11:20 全体にわたる質疑応答,討論

 

《講演会.・公開シンポジウムの趣旨》
テーマ 【スタンダード化時代の教育リーダーシップ】

教育のスタンダード化は、グローバルな教育改革における一つのキーワードとして、先進諸国で一般的にみられるようになっている。他の公的領域の改革トレンドにも影響されながら形成されてきたこの潮流は、①テストによって測定される学習成果により大きな強調点を置く、②学校をビジネスのように運営させ、学校、及び/あるいは教師の成功と不成功を二項対立的に評価するような学校内部の民営化を推し進める、➂国の教育政策として、教材、学校改善のノウハウの売買、民間団体の学校運営への参画などを可能にするような外的な民営化、④教職の専門性をしかるべきデータの算出過程に置き換えるような脱専門職化など、様々な教育上の改革を含んでいる。
 こうした新しい環境の下で、改革の成否を分けるものとして着目されているのが校長のリーダーシップである。スタンダード化の改革は、校長を含む教育専門家の専門性を政策的に定義しなおすものであり、その充足感(well-being)、アイデンティティ、そして実践をも作り変えようとするものである。
 ゲストスピーカーであるマンチェスター大学のヘレン・ガンター教授には、学校リーダーシップに関する主流のディスコースがいかなるもので、それがイングランドあるいはヨーロッパでどのように構築されてきたものであるのかについて論じていただく。同時に、教育文化や国の政策との関係性の違いを踏まえて、日本や英国、その他の国における相違点などについて講演していただく。日本側パネリストには、東京大学の勝野正章氏、また、福岡市立東光中学校の前校長である元主浩一氏を迎え、日本における学校リーダーシップの特徴、また学校現場における校長のリーダーシップの可能性と課題などをめぐり、議論を深めていきたいと考える。(仲田康一)

〔基調講演〕

ヘレン・ガンター Prof Helen Gunter(マンチェスター大学教育学部教授)

教育政策分野を主な研究領域とし、教育リーダーシップについては『教育リーダーシップとハンナ・アレント(Educational Leadership and Hannah Arendt)』(Routledge)、『教育リーダーシップ–新自由主義時代の専門的実践を理論化する—(Educational Leadership : Theorising Professional Practice in Neoliberal Times)』(Routledge)などの著書がある。また、複数の国にまたがる教育リーダーシップ政策研究の比較研究を展開しており、『イングランドの教育におけるリーダーシップの民営化と香港およびアジア全域にわたる新自由主義の影響(Privatizing Leadership in Education in England and Neoliberal Influences in Hong Kong and Throughout Asia)』などの著書や、「バングラディシュの高等教育のリーダーの役割における女性(Women in leader roles within higher education in Bangladesh)」(Management in Education誌)のような論文など、同領域について多数の研究成果を有する。

 〔パネリスト〕

勝野正章(東京大学大学院教育学研究科教授)

 教育政策・教育行政分野を研究領域とし、昨年度から校長のリーダーシップの日本的特徴に関する科研費研究を行うなど、教育のリーダーシップについても研究を蓄積している。著書に、『教員評価の理念と政策: 日本とイギリス』(エイデル研究所)、『教育行政と学校経営』(放送大学教育振興会;小川正人氏と共著)、『日本における教員評価の政策と実践:パフォーマティヴィティは学校でいかに作用しているかTeacher evaluation policies and practices in Japan : how performativity works in schools』(Routledge)などがある。

  元主浩一(福岡市教育委員会福岡市教育センター巡回研究指導教員、元福岡市立東光中学校校長

 困難な社会的背景を抱える地域の中学校に教頭として赴任し、後年校長へと昇任。校長となってからは生徒指導に加え「学び合い」を中心とした学校全体の授業改善に取り組み、生徒の行動や情緒、さらには成績面において顕著な成果をあげ、全国的にも注目を集めてきた。校長職を定年退職後、福岡市教育委員会に所属し、校長としての経験や知見を学校現場に伝える活動に精力的に取り組んでいる。

〔司会〕

仲田康一(大東文化大学)

 〔コーディネーター〕

仲田康一(大東文化大学)/清田夏代(実践女子大学)

【交通アクセス】

◎ 渋谷駅《JR(山手線、埼京線、湘南新宿ライン)/東京メトロ(銀座線、半蔵門線、副都心線)、東急(東横線、田園都市線)、京王井の頭線 東口(東急南口)》から徒歩約10 分
◎ 表参道駅《東京メトロ(銀座線、半蔵門線、千代田線) B1出口から徒歩約12 分》

《大会参加費》 3000円(一般会員)、1000円(学生会員)
《懇親会費》  5000円

【禁煙】キャンパスは全面禁煙です。ご協力をお願いいたします。
【宿泊】各自でご手配をお願いいたします。
【昼食】夏季休暇中のため、学食、コンビニエンスストアは開いておりません。
【昼食】会場の周辺にはコンビニエンスストア、食事場所などが多数ありますので、そちらをご利用ください。